店舗の出口で、突然鳴り響く警報音に驚いた経験はありませんか。
万引きをしていないのにゲートが反応し、不快な思いをしたり、周りの視線が気になったりすることは、多くの人が一度は疑問に思う現象です。
この問題について、まずは基本から、そもそも防犯って何ですか?という根本的な問いに触れつつ、店舗にある防犯ゲートって何ですか?という役割から紐解いていきましょう。
この記事では、そもそも防犯センサーは何に反応しますか?という核心に迫ります。専用の防犯ゲート タグとその種類、そして防犯タグやブザーが鳴る仕組みは?といった技術的な側面を分かりやすく解説します。
意外と知られていない、レシートも関係?防犯ゲートの仕組みとバーコードの関連性にも言及します。
さらに、セキュリティゲートが鳴るのはなぜ?その理由とは何か、特に財布が原因?とされる防犯ゲートの誤作動や、知っておきたい防犯ゲートの誤作動と金属の関係など、具体的な原因を深掘りします。
万が一の事態に備え、もし防犯ゲートが鳴ったら?クレームの前にどう行動すべきか、そして絶対ダメ!防犯ゲートの誤作動を無視するリスクまで、網羅的に解説します。
この記事を読めば、今後の不安や疑問が解消されるはずです。
記事のポイント
- 防犯ゲートが反応する基本的な仕組みとタグの種類
- 誤作動を引き起こす意外な原因と具体例
- ゲートが鳴ってしまった時のスマートで正しい対処法
- トラブルを避け、安心して買い物するための注意点
仕組みから探る!防犯 ゲート 反応するものの正体

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この章では、防犯ゲートが反応するものの正体を、基本的な仕組みから詳しく解説します。
ゲートが何に反応し、どのような技術でブザーが鳴るのか、そしてレシートとの関連性まで、システムの基本を知りたい方は必見です。
ポイント
- まずは基本から、防犯って何ですか?
- 店舗にある防犯ゲートって何ですか?
- そもそも防犯センサーは何に反応しますか?
- 専用の防犯ゲート タグとその種類
- 防犯タグやブザーが鳴る仕組みは?
- レシートも関係?防犯ゲートの仕組みとバーコード
まずは基本から、防犯って何ですか?

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私たちは日常生活の中で「防犯」という言葉を頻繁に耳にしますが、その本来の意味について深く考える機会は少ないかもしれません。
防犯とは、単に犯罪から身を守るという受け身の姿勢だけでなく、より能動的に犯罪を未然に防ぐための予防活動全般を指します。
犯罪が発生した後に対応する「事後対応」ではなく、そもそも犯罪が起こりにくい環境や社会を、計画的に構築していくことがその本質的な目的と考えられます。
なぜなら、安全で安心な生活は、私たち一人ひとりの幸福はもちろん、社会全体の安定と発展にとって不可欠な基盤だからです。
特に、万引きのような一見すると軽微に思える犯罪であっても、その影響は決して小さくありません。
店舗にとっては直接的な経済的損失となり、その損失を補うために商品価格が上昇すれば、最終的には善良な一般消費者が負担を強いられることにも繋がります。
さらに警察庁は、万引きを「たかが万引き」と軽視する風潮が社会全体の規範意識の低下を招き、より重大な犯罪を誘発する危険性を指摘しています。
これは、一枚の割れた窓ガラスを放置すると、やがて他の窓も次々と割られて建物全体が荒廃していくように、些細な秩序の乱れがより深刻な問題へとエスカレートしていく「割れ窓理論」に通じる考え方です。 (出典:神奈川県警察「万引き防止のガイドライン」)
具体的な防犯活動には、地域のボランティアによるパトロールや、学校での防犯教室、そして店舗における防犯カメラや防犯ゲートの設置など、非常に多岐にわたる取り組みが含まれます。
これらの活動は、専門的には「監視性」「抵抗性」「領域性」といった防犯設計の考え方に基づいています。
「監視性」とは、防犯カメラや地域住民の目のように、自然な監視を増やすこと。
「抵抗性」とは、鍵や防犯ゲートのように、犯行を物理的に困難にすること。
そして「領域性」とは、手入れの行き届いた街並みのように、「ここはしっかりと管理されている場所だ」と示して部外者の侵入を防ぐことです。
これらの活動は、犯罪者に「この場所は監視が行き届いている」「犯行には手間がかかり、捕まるリスクが高い」と認識させることで、強力な心理的抑止効果を生み出します。
このように考えると、防犯は個々の財産や身体を守るための自己防衛であると同時に、誰もが安心して暮らせる社会環境を維持するための、重要な社会貢献の一環と言えます。
それは、単に鍵をかけるといった受動的な対策に留まらず、犯罪者が犯行を躊躇するような「まちづくり」や「店づくり」といった、能動的で創造的な活動でもあるのです。
店舗にある防犯ゲートって何ですか?

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スーパーマーケットや書店、アパレルショップなど、様々なお店の出口で見かける、あの門のような装置。
私たちは日常の風景として何気なく通り過ぎていますが、あれが一体どのような仕組みで、店舗の安全をどう守っているのか、その詳細をご存知の方は少ないかもしれません。
この装置は、一般的に「防犯ゲート」と呼ばれ、専門的には電子商品監視(EAS: Electronic Article Surveillance)システムという名称を持つ、万引きを防止するための高度な検知・抑止装置です。
このシステムには、店舗の安全と秩序を守るための、大きく分けて二つの重要な役割があります。
第一の役割は、不正な持ち出しを物理的に「検知」する機能です。
この機能は、主に「ゲート本体(アンテナ)」「商品に取り付けられる防犯タグ」、そして「レジにある無効化装置・解除器」の3つの要素で成り立っています。
会計が済んでいない、つまり専用の装置で無効化・解除されていない防犯タグがゲートの間を通過すると、システムがそれを瞬時に検知し、警報音や光で周囲に異常を知らせます。
これにより、店舗スタッフは不正行為の発生を即座に把握し、声をかけるなどの適切な初期対応を取ることが可能になります。
第二の、そして非常に重要な役割が、心理的な「抑止」機能です。
ゲートが出入り口に設置されているという事実そのものが、潜在的な万引き犯に対して「この店舗は対策を講じている」「見られている」「捕まるリスクが高い」という強いプレッシャーを与えます。
万引き犯を捕まえることには、従業員とのトラブルや時間的コストといった様々なリスクが伴います。
そのため、多くの専門家は、犯行後の検挙よりも、犯行を未然に断念させるこの心理的な抑止効果こそが、防犯ゲートが持つ最大の利点の一つであると指摘しています。
実際に、警報機能を持たない「ダミーゲート」を設置する店舗もあるほど、この視覚的なプレッシャーは効果的だと考えられています。 (出典:万引き対策機器専門「杏林社」)
これらのことから、防犯ゲートは単に不正を検知する機械というだけでなく、店舗経営全体に貢献する総合的なセキュリティ・ソリューションと言えるでしょう。
従業員が常に顧客を監視し続けるという心理的負担から解放され、本来の業務である丁寧な接客や商品管理に集中できる環境が生まれます。
また、防犯対策が徹底されているという事実は、善良な顧客に安心感を与え、快適な買い物体験を提供することにも繋がります。
このように、防犯ゲートは店舗の資産を守るだけでなく、従業員と顧客双方にとってより良い環境を作り出すための、重要な役割を担っているのです。
そもそも防犯センサーは何に反応しますか?

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お店のゲートを通過する際、自分のスマートフォンや財布、あるいは鍵といった持ち物の何かに反応してしまうのではないか、と少し不安に思ったことはありませんか。
この防犯ゲートに内蔵されたセンサーが一体何を見ているのか、その核心は意外とシンプルです。
原則として、センサーが反応する対象は、商品に意図的に取り付けられた「専用の防犯タグやラベル」だけに限定されています。
この仕組みは、例えるなら「特定の合言葉を知っている者同士だけが交信する」システムのようなものです。
ゲートとタグは、あらかじめ決められた特定の周波数(合言葉)を使ってコミュニケーションをとるように、精密に設計されています。
まず、ゲートの片側にある送信機が、常に「合言葉を知っている者はいないか?」と呼びかけるように、特定の周波数の電波または磁界をその空間に放出しています。
一方、商品に取り付けられた防犯タグには、この「合言葉」にだけ共振(反応)するように作られた、微細なアンテナや特殊な金属片が内蔵されています。
このタグは、会計時にレジカウンターに設置された専用の装置(ディアクティベーターや解除器)で機能を「無効化」または物理的に「取り外し」されない限り、「アクティブな状態」を保ち続けます。
そして、このアクティブな状態のタグがゲートの間を通過すると、ゲートからの呼びかけに応えるようにタグが共振し、「私がここにいます」という微弱な信号を発信します。
ゲートのもう片側にある受信機は、このタグからの応答信号だけを待ち受けており、それを検知した瞬間に警報音や光で周囲に異常を知らせる、というのが基本的な流れです。 (出典:高千穂交易株式会社「効果的な万引き対策とは?」)
したがって、理論上は専用タグ以外のもの、例えば人の体や衣服、一般的な持ち物などには反応しないはずです。
しかし、この精密なシステムも万能ではありません。
後述するように、他の物品が偶然にもタグと似たような信号(雑音)を発してしまったり、ゲートの繊細な電波・磁界の環境を乱してしまったりすることで、システムがそれをタグからの信号と「聞き間違えて」しまう「誤作動」が発生する場合があります。
この点が、多くの利用者が「何に反応したのだろう?」と混乱する大きな原因となっているのです。
専用の防犯ゲート タグとその種類

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防犯ゲートが店舗の「関所」だとすれば、商品に取り付けられる防犯タグは、その関所を通過するための「通行証」のような役割を担っています。
この「通行証」には様々な種類があり、保護する商品の価値や形状、店舗の運用方針に応じて戦略的に使い分けられています。
どの商品を、どのレベルのセキュリティで守るのか。タグの選択は、その店舗のロス対策(損失防止)に対する姿勢を反映する、重要な戦略的意思決定なのです。
ハードタグ(再利用型)
ハードタグは、主に衣料品やバッグなど、繰り返し使える耐久性が求められる商品に使用される、頑丈なプラスチック製のタグです。
丸いドーム型や細長い鉛筆型など多様な形状があり、専用のピンやワイヤーストラップで商品にしっかりと固定されます。
会計時には、レジカウンターに設置された非常に強力な磁石である「解除器(ディタッチャー)」に近づけることで、内部のロック機構が外れる仕組みです。
取り外したタグは回収され、繰り返し使用できるため経済的です。
一方で、不正に外そうとする行為への対策として、より高度な機能を持つ派生型も存在します。
例えば、無理にこじ開けようとすると特殊なインクが飛散し、商品と犯人の両方を汚損する「インクタグ」や、ワイヤーケーブルを切断するとその場で警報が鳴るタイプなど、セキュリティレベルを向上させた製品が開発されています。
ただし、お客様が試着する際に邪魔になることがある点や、従業員による取り付け・取り外しの手間がかかる点は、運用上の課題として挙げられます。
ラベルタグ(使い捨て型)
一見すると普通のシールやバーコードラベルのように見えるため、お客様に違和感を与えにくいのがラベルタグです。
その薄い紙やフィルムの層の間には、コイル状のアンテナとコンデンサで構成される微細な「共振回路」が巧妙に隠されています。
書籍、CD・DVD、化粧品の箱、食料品といった、ハードタグの取り付けが難しい商品に直接貼り付けて使用されます。
このタグは、会計時にディアクティベーターと呼ばれるパッド状の無効化装置の上を通過させます。
その際、装置から発せられる強力な電磁波によって、タグ内部の回路の一部を意図的にショートさせ、共振機能を永久に破壊(無効化)する仕組みです。
ハードタグに比べて単価が非常に安価な点が大きなメリットですが、その効果は正しい貼り付け方に大きく依存します。
例えば、金属製の缶やアルミを含むパッケージに直接貼ると、金属が電波を妨害してゲートが反応しなくなります。
また、タグを折り曲げて貼ることも、内部回路の断線の原因となるため避けるべきです。 (出典:企業警備保障株式会社「防犯タグ・ラベルについて」)
自鳴タグ(じめいタグ)
自鳴タグは、タグ自体にバッテリーとブザー(警報音を発する装置)を内蔵した、極めて高いセキュリティレベルを誇るタグです。
その防御力は「3アラーム」システムと呼ばれる多層的な警報機能にあります。
- ゲートでの警報:
まず、従来のタグと同様に、ゲートを不正に通過しようとするとゲート本体が警報を発します。 - タグ自体の警報:
それと同時に、タグ自体も大音量で鳴り始めます。これにより、混雑した出入り口でも警報を鳴らした人物を容易に特定できます。 - 不正行為への警報:
さらに、ワイヤーが切断されたり、商品から無理に引き剥がされたりすると、その場で即座にタグが警報を発します。
この多層的な警報機能により、犯人が店外に逃走してもタグが鳴り続けるため、盗品の放棄や犯人の確保に繋がりやすく、非常に高い抑止効果を持ちます。
その分、タグ自体が高価で定期的な電池交換も必要なため、主に高価なブランド品、高級家電、工具などを扱う店舗で導入されています。
セーフティケース/セーファーボックス
これはタグそのものではありませんが、タグを組み込んだ強力な防犯ツールです。
カミソリの替刃、インクカートリッジ、ゲームソフト、高級化粧品といった、小型で高価な「中抜き」されやすい商品を、透明なポリカーボネート製の頑丈な箱に収めて陳列する手法です。
箱自体にEASタグが内蔵されているため、箱ごと持ち出そうとしてもゲートが反応します。
そして、この箱はレジで専用の特殊な解除器を使わなければ開けることができません。お客様は商品を直接手に取って確認できますが、中身だけを盗むことは極めて困難になります。
これらの多様なタグやツールは、小売店のロス対策における最前線の「兵器庫」と言えるでしょう。
それぞれの特性を理解し、適切に組み合わせることが、効果的なEASシステム運用と店舗の安全確保に繋がるのです。
防犯タグやブザーが鳴る仕組みは?

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店舗の出入り口に設置された防犯ゲートと、商品に取り付けられた防犯タグ。
これらは「EAS(Electronic Article Surveillance:電子式商品監視システム)」と呼ばれ、万引きによる損失を防ぐために重要な役割を担っています。
ゲートを通過した際にブザーが鳴る仕組みは、目に見えない電波や磁気を利用しており、主に「RF方式」と「AM方式」という二つの技術が使われています。
これらの方式は、使用する周波数の違いだけでなく、検知する原理そのものが異なります。
そのため、それぞれに得意なこと・不得意なことがあり、店舗の種類や扱う商品の特性によって使い分けられています。
RF(Radio Frequency)方式:広く普及する電波の番人
RF方式は「電波方式」とも呼ばれ、8.2MHz(メガヘルツ)という国際的に標準化されたラジオ周波数を利用するのが一般的です。
スーパーマーケットや書店、アパレル店などで最も広く採用されている方式です。
仕組み
- 電波の放射:
ゲートの片方(送信ゲート)が、特定の周波数(8.2MHz)の電波を常時、ゲート間に向けて放射しています。 - タグの共振:
商品についているRFタグの内部には、アンテナの役割を果たすコイルと、電気を蓄えるコンデンサで構成された、ごく単純な「LC共振回路」が内蔵されています。この回路は、ゲートが発する特定の周波数にだけ反応するように設計されています。 - エネルギーの吸収:
タグがゲート間の電波の「場」に入ると、特定の周波数に共鳴して振動し(共振)、ゲートが発した電波のエネルギーをわずかに吸収します。 - 検知と警報:
もう片方の受信ゲートは、常に電波の強さを監視しています。タグによってエネルギーが吸収され、電波がごくわずかに弱くなったことを検知すると、システムは「タグが通過した」と判断し、ブザーやランプで警報を発します。
長所と短所
- 長所:
タグの構造がシンプルなため、非常に安価です。
紙のように薄いラベルタグから、衣類用の硬いハードタグまで形状も豊富で、様々な商品に対応できます。 - 短所:
水分や金属に弱い性質があります。
そのため、金属製品(缶詰やアルミ箔のパッケージなど)や、人体の影響(タグを手で覆うなど)で検知感度が低下したり、逆に誤作動を起こしたりすることがあります。
レジでの無効化
会計時には、専用の解除器(ディアクティベーター)でタグを無効化します。
ラベルタグの場合は、強い電波を当てて内部のコンデンサを電気的に破壊し、二度と共振しないようにします。
ハードタグの場合は、専用の器具で物理的に取り外します。
AM(Acousto-Magnetic)方式:ノイズに強い磁気のスペシャリスト
AM方式は「音響磁気方式」と呼ばれ、58kHz(キロヘルツ)という非常に低い周波数の磁界を利用します。
その名の通り、「磁気」で「音」のような振動を起こす原理を応用しています。
仕組み
- パルス磁界の放射:
送信ゲートが、1秒間に50〜90回程度の非常に短い間隔で、断続的(パルス状)に磁界を発生させます。 - タグの振動:
AMタグの内部には、特定の磁気に反応して物理的に伸縮・振動する、アモルファス合金などでできた特殊な金属片(振動子)が2枚入っています。
ゲートから磁界のパルスを受けると、この振動子が瞬時に「カチッ」と収縮します。 - 残響(リンギング):
ゲートからのパルスが止まった直後、収縮した振動子は元の形に戻ろうとして、まるで音叉のように「ブーン」と固有の周波数でしばらくの間、微弱に振動します。
この、パルスが止まった後に発生する振動の余韻を「残響(リンギング)」と呼びます。 - 「残響」の検知と警報:
受信ゲートは、ゲートからのパルスが出ていない「無音」の時間だけを狙って、タグから発せられるこの「残響」信号(微弱な磁気信号)を待ち受けます。
この特徴的な信号を検知した場合にのみ、警報を鳴らします。
長所と短所
- 長所:
周囲の電気的なノイズ(照明や家電製品など)と、タグが発する信号の周波数が全く異なるため、誤作動が極めて少ないのが最大の特徴です。
また、検知範囲が広く、ゲート間の距離を広く取ることができます。
金属や水分の影響も受けにくいため、ドラッグストアや家電量販店、高級ブランド店などに向いています。 - 短所:
タグの構造が複雑なため、RF方式に比べて高価になる傾向があります。
また、硬質のプラスチックケースに入ったものが主流で、ラベルタグもRF方式より少し厚みがあります。
レジでの無効化
会計時には、強力な磁石を備えた解除器でタグ内部の金属片を磁化させます。
一度磁化されると、振動子はくっついてしまい、ゲートの磁界を受けても振動できなくなるため、機能が停止します。
ハードタグはRF方式同様、物理的に取り外します。
ブザーが鳴る、ということ
最終的にブザーを鳴らす部分は、どちらの方式も同じです。
RF方式の「エネルギー低下」やAM方式の「残響信号」といった異常を検知したゲート内のコンピュータが、警報装置に「鳴らせ」という電気信号を送ります。
この信号がトリガーとなり、私たちは「ビー!」という警告音を聞くことになるのです。
このように、防犯システムは店舗環境や商品に合わせて最適なものが選ばれており、私たちの知らないところで高度な技術が活躍しています。
レシートも関係?防犯ゲートの仕組みとバーコード

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「会計を済ませたのに防犯ゲートが鳴ってしまった。
もしかしてレシートに反応しているの?」――このような経験や噂を聞いたことがあるかもしれません。
中には「レシートの特殊なインクが原因だ」といった説まで存在しますが、結論から言うと、これは一般的に誤解です。
レシートの紙やインク自体が、防犯ゲートが発する電波や磁気に直接反応してブザーを鳴らすことは、科学的にあり得ません。
では、なぜこのような誤解が広く生まれてしまったのでしょうか。
その背景には、会計後にゲートが鳴ってしまった際の状況と、防犯タグの見た目、そして新しい技術の登場が複雑に絡み合っています。
主な原因は以下の二つに大別できます。
原因1:見えない「ラベルタグ」の無効化忘れ
最も一般的な原因は、商品に貼り付けられた「ラベルタグ(防犯シール)」の存在です。
ラベルタグとは?
これは、書籍、CD/DVD、化粧品の箱、文房具、その他小物類などに直接貼り付けられている、薄いシール状の防犯タグです。
このラベルタグは、一見するとただのバーコードや銀色のシール、あるいはメーカーのロゴシールのように見えるため、消費者がそれを「防犯タグ」だと認識していないことがほとんどです。
なぜゲートが鳴るのか
これらのラベルタグは、レジでの会計時に「無効化(ディアクティベーション)」という処理を施す必要があります。
レジカウンターのスキャナー台には、目には見えませんが、防犯タグを無効化するための解除器が埋め込まれています。
店員が商品をこの解除器の上を正しく通過させると、ラベルタグ内部の回路が電気的に破壊されたり、磁気的な特性が失われたりして、機能が停止します。
しかし、以下のような理由でこの無効化処理が失敗することがあります。
- 操作ミス:
店員が商品を解除器の上を通過させ忘れる、あるいは通過させるスピードが速すぎる。 - 物理的な問題:
商品の底が凹んでいるなど、タグと解除器の間に距離ができてしまい、十分なエネルギーが届かなかった。 - 解除器の不調:
解除器自体のパワーが落ちている、または故障している。
この結果、顧客は会計を済ませ、購入の証明であるレシートを手にしているにもかかわらず、ゲートを通過した瞬間に警報が鳴ってしまいます。
その際、顧客の視点では「お金を払った証拠のレシートを持っているのに鳴った」ため、「レシート(あるいはレシートに印刷されたバーコード)が原因で鳴ったのではないか」と錯覚してしまうのです。
これが、誤解が生まれる最大の理由です。
原因2:高機能な「RFIDタグ」との混同
もう一つの理由は、近年アパレル業界などを中心に導入が進んでいる「RFID(Radio Frequency Identification)」技術との混同です。
RFIDとは?
RFIDは、交通系ICカードや電子マネーのように、電波を用いて非接触でICタグの情報を読み書きする技術です。
従来の防犯タグ(EASタグ)が「そこにタグがあるか(Yes/No)」しか検知できないのに対し、RFIDタグは「どの商品が(商品A、商品Bなど)」という個別のID情報まで識別できます。
RFIDの店舗利用と誤解
RFIDが導入された店舗では、在庫管理と万引き防止を一つのタグで同時に行えます。
- 会計時:
レジで商品のRFIDタグを読み取ると、その商品のIDが店舗のデータベース上で「販売済み」として記録されます。 - ゲート通過時:
防犯ゲートは、通過する商品のRFIDタグ情報を読み取ります。
もしデータベース上で「販売済み」になっていない商品(=未会計の商品)が通過すると、警報を鳴らす仕組みです。
このRFIDタグは、従来のバーコードが担っていた商品管理の役割も兼ねることができます。
そのため、RFIDの仕組みを詳しく知らない人から見ると、「バーコードの代わりにICタグで情報を読み取っている」ことから、「バーコードの情報にゲートが反応している」と混同・誤解してしまうことがあります。
しかし、これも反応しているのはあくまで「RFIDタグ」であり、レシートや紙に印刷されたバーコードそのものではありません。
結論:ゲートは「有効な防犯タグ」にのみ反応する
改めて結論を述べると、防犯ゲートの仕組みと、レシートやバーコードは直接関連していません。
- バーコードは、太さの違う線の組み合わせをレーザー光で読み取る光学的な記号です。
電波や磁気を発することはありません。 - 防犯ゲートは、特定の周波数の電波や磁気に反応する専用の「防犯タグ」を検知するシステムです。
ゲートが鳴ってしまった場合は、慌てずに店員にレシートを見せ、状況を説明してください。
大抵は、商品のどこかに無効化されなかったラベルタグが残っているはずです。
店員にそれを再度無効化してもらうか、取り除いてもらうことで解決します。
「レシートが反応する」という話は、便利な防犯システムと私たちの思い込みが生んだ、興味深い都市伝説の一つと言えるでしょう。
誤作動?防犯 ゲート 反応するものの原因と対処法

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なぜ防犯ゲートは誤作動するのか、その具体的な原因と万が一の時の正しい対処法について解説します。
財布や金属との関係から、ゲートが鳴った際のスマートな振る舞いまで、トラブルを避けたい方はぜひご覧ください。
ポイント
- セキュリティゲートが鳴るのはなぜ?その理由とは
- 財布が原因?防犯ゲートの誤作動
- 知っておきたい防犯ゲートの誤作動と金属の関係
- もし防犯ゲートが鳴ったら?クレームの前に
- 絶対ダメ!防犯ゲートの誤作動を無視するリスク
- 総括:防犯 ゲート 反応するものの正しい知識
セキュリティゲートが鳴るのはなぜ?その理由とは

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店舗の出口で、突然「ビーッ!」と鳴り響くセキュリティゲートの警報音。万引きなど全くしていないのにゲートが鳴ってしまい、周囲の視線を感じて気まずい思いをした経験はありませんか?「なぜ自分だけ?」と不安になるこの現象ですが、その理由は一つではありません。
セキュリティゲートが鳴る理由は、大きく分けて二つあります。
一つは「正常な作動」、つまり会計時に無効化処理がされなかった防犯タグを正しく検知した場合です。
そしてもう一つが、多くの人を悩ませる「誤作動」です。
ここでは、特にこの厄介な「誤作動」がなぜ起こるのか、その原因を深掘りしていきます。
誤作動の前提:ゲートは非常に「繊細」なセンサー
まず理解すべきなのは、セキュリティゲートが非常に微弱な電波や磁気の「変化」を捉える、極めて精密な機械であるという点です。
ゲートは特定の周波数帯を常に監視しており、防犯タグが発する微かな信号という「異常」を探しています。
しかし、その感度の高さゆえに、本来の目的ではない様々な要因を「異常」として拾ってしまうことがあるのです。
【原因1】店舗の「環境」が引き起こす誤作動
意外に思われるかもしれませんが、店舗内の環境そのものが誤作動の大きな原因となります。
電気的なノイズ(電磁ノイズ)
ゲートの周辺にある他の電気設備が発するノイズが、ゲートのシステムと干渉(混信)することがあります。
- インバーター式の照明や空調:
省エネのために高周波で電流を制御するインバーターは、ゲートが使う周波数に近いノイズを発生させやすい代表例です。 - 大型の冷蔵・冷凍ケース:
スーパーマーケットなどで見られる大型ケースのモーターや冷却装置も、強力なノイズ源となり得ます。 - デジタルサイネージ(電子看板):
内部の電子回路や電源がノイズを発生させ、ゲートに影響を与えることがあります。
これらのノイズが、ゲートが聞いている防犯タグの「かすかな声」をかき消したり、あるいはタグが存在しないのに、あたかも存在するかのような偽の信号を生み出してしまったりするのです。
金属物の影響
金属は電波を反射したり、磁界を歪めたりする性質があります。ゲートのすぐ近くに大きな金属物があると、検知エリアのバランスが崩れ、誤作動を引き起こしやすくなります。
- 金属製の陳列棚、什器
- 金属製のショッピングカートやカゴ
- 自動ドアのサッシや建物の鉄骨
専門業者はこれらを考慮してゲートを設置しますが、店内のレイアウト変更などによって、後からバランスが崩れてしまうこともあります。
【原因2】あなたの「持ち物」が引き起こす誤作動
誤作動の中で最も頻度が高く、多くの人が経験するのが、自身の持ち物が原因となるケースです。
他店の「未消去タグ」
これが誤作動の最大の原因と言っても過言ではありません。
他の店で購入した商品に付いていた防犯タグ(特に書籍や化粧品に貼られている薄いラベルタグ)が、会計時にレジで適切に無効化されていなかった場合、その「生きているタグ」を持ったまま別の店のゲートを通過すると、当然ながらゲートは反応してしまいます。
「今日はこの店で何も買っていないのに鳴った」という場合は、数日前に別の店で買ったカバンの中の商品や、財布に入れっぱなしの書籍のタグが原因かもしれません。
意図せず「疑似タグ」となる物品
あなたの持ち物の中に、防犯タグとよく似た電磁的な特性を持ち、ゲートを騙してしまう「疑似タグ」が存在することがあります。
- コイル状の物:
充電ケーブルやイヤホン、モバイルバッテリーの内部コイルなどが、RF方式のゲートが探している「コイルとコンデンサの回路(LC共振回路)」と似た振る舞いをすることがあります。
カバンの中で偶然特定の形になることで、ゲートの電波に共振してしまうのです。 - 磁気を帯びた物:
スマートフォンケースの留め具に使われる磁石、磁気ネックレスなどの健康器具、ノートPCなどが、AM方式のゲートが使う磁界を乱し、誤作動の引き金になることがあります。 - ICカード類:
SuicaやPASMOなどの交通系ICカードや、ICチップ付きのクレジットカードも、内部にアンテナとチップを持っており、電波で通信する仕組みです。
これがゲートの電波と干渉し、反応を誘発することがあります。
もしゲートが鳴ってしまったら?
これらの理由から、ゲートが鳴ったからといって、必ずしも万引きがあったとは限りません。
むしろ、様々な要因が複合的に絡み合って発生する、システム上の課題と捉えることができます。
もし鳴ってしまっても、慌てる必要はありません。
- 落ち着いて立ち止まり、店員の指示に従う。
- レシートを見せ、会計済みであることを伝える。
- 心当たり(最近他の店で買った商品など)があれば伝え、持ち物の確認に協力する。
多くの店員は誤作動の可能性を理解しています。
冷静に対応すれば、スムーズに原因が見つかり、疑いが晴れることがほとんどです。
ゲートのブザーは誰にでも起こりうるハプニングと捉え、落ち着いて対処しましょう。
財布が原因?防犯ゲートの誤作動

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万引きなど身に覚えがないのに、店舗の出口で鳴り響く防犯ゲートのブザー。
特に「財布を手に持っていた」「カバンから財布を出そうとした」といったタイミングで鳴ってしまうと、「もしかして、この財布が原因?」と不安に駆られるものです。
結論から言うと、その推測は当たっている可能性があります。
実際に、財布が防犯ゲートの誤作動を誘発するケースは少なくありません。
ただし、財布の革や布そのものにゲートが反応しているわけではなく、現代の財布が持つ「機能性」や「その中身」が、非常に繊細な防犯ゲートのセンサーと意図せず干渉してしまうのが主な原因です。
ここでは、なぜ財布が誤作動の"容疑者"となりうるのか、その理由と具体的な対策を詳しく解説します。
【原因1】ハイテク機能の落とし穴:「スキミング防止機能」
近年、クレジットカード情報の不正抜き取り(スキミング)を防ぐ「RFIDプロテクション機能」を備えた財布やカードケースが人気です。
これは、電波を遮断する特殊なシート(主にアルミ箔など)を財布の内側に挟み込み、外部からカード情報を不正に読み取られるのを防ぐという優れた機能です。
しかし、この防犯機能が、皮肉にも防犯ゲートの誤作動を引き起こすことがあります。
仕組み
多くの防犯ゲート(特にRF方式)は、ゲート間に作られた特定の周波数の電波の「場」を監視しています。
防犯タグがこの場を通過すると、電波のエネルギーがわずかに吸収され、その「乱れ」を検知して警報を鳴らします。
なぜ反応するのか
スキミング防止機能を持つ財布は、内部の金属シートがこの電波を強力に遮断・反射します。
ゲートから見ると、防犯タグが通過した時の「小さな乱れ」とは比較にならないほど大きな電波の乱れとして検知されてしまいます。
その結果、「何か異常な物体が通過した」と判断し、警報を鳴らしてしまうのです。
【原因2】カード類の密集:「ICカードの束」と「磁気」
財布の中は、いまや電子情報の宝庫です。
これらのカード類が、誤作動の原因となることもあります。
ICカードの干渉
クレジットカードのタッチ決済機能や交通系ICカード(Suica、PASMOなど)は、それぞれが内部に微小なアンテナ(コイル)とICチップを持っています。
これらのカードが財布の中で複数枚ぴったりと重なると、それぞれのアンテナが互いに干渉し合い、意図しない共振回路が偶然形成されることがあります。
この回路が、ゲートが探している防犯タグの周波数とたまたま合致してしまうと、ゲートは「タグあり」と誤認してしまいます。
磁気カードの影響
ポイントカードなどに使われる磁気ストライプ自体が主动的に信号を出すことは稀ですが、AM方式(音響磁気方式)のゲートが発する強力な磁界に影響を与え、磁界をわずかに乱す要因になる可能性もゼロではありません。
【原因3】見落としがちな犯人:「紛れ込んだ他店の防犯タグ」
これは財布そのものの機能ではありませんが、非常に頻繁に起こるケースです。
書籍やCD、化粧品などに貼られている薄いシール状の防犯ラベルタグ。
これが何かの拍子に剥がれ、知らず知らずのうちに財布の中に紛れ込んでいることがあります。
レシートやカードの隙間に入り込んでしまうと見つけにくく、持ち主は全く気づかないまま、この「生きているタグ」を様々な店に持ち運んでしまうことになります。
これが、特定の財布を持つと頻繁にゲートが鳴る、という現象の最も単純で、しかし意外な真相であることも多いのです。
【原因4】デザインの一部:「金属製の部品」
財布のデザインに使われている金属部品も、無視できない要因です。
- がま口の大きな金属フレーム
- ブランドロゴの金属プレート
- ウォレットチェーンや装飾用のスタッズ
これらの金属部品が、ゲートの電波や磁界を歪ませる「ノイズ」となり、検知システムのバランスを崩して誤作動を引き起こすことがあります。
もしやと思ったら?今日からできる対策
もしご自身の財布が原因かもしれないと感じたら、以下の対策を試してみてください。
徹底的な中身のチェック
まずは財布の中身をすべて取り出し、不要なレシートやカードを整理しましょう。
その際、剥がれて紛れ込んだ防犯ラベルタグがないか、隅々まで念入りに確認してください。
カードの整理・配置換え
ICカード同士が直接重ならないように、間に仕切りを入れたり、収納場所を変えたりするだけでも効果がある場合があります。
ゲート通過時の工夫
ゲートを通過する際は、財布をバッグの中心部に入れたり、金属部品がゲートに近づきすぎないように意識したりするだけでも、状況が変わることがあります。
スキミング防止カードの活用
財布自体に機能がついているのではなく、カード型のスキミング防止グッズを使っている場合は、一度それを抜いてみてゲートが鳴るか試してみるのも原因究明の一助となります。
「財布がゲートに反応する」という現象は、多くの場合、こうした複数の要因が偶然重なって発生する「相性問題」です。
ご自身の財布の特性を理解し、少しの工夫をすることで、不快な誤作動を減らすことができるかもしれません。
知っておきたい防犯ゲートの誤作動と金属の関係

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店舗のセキュリティを支える防犯ゲート。その性能や安定稼働を語る上で、「金属」製品との関係は決して避けて通れません。
ゲートにとって金属は、その検知能力を無力化する「最大の敵」となりうる一方で、意図しない警報、すなわち「誤作動」を引き起こす悩ましい存在でもあります。
金属がゲートに与える影響は、大きく分けて「不作動」と「誤作動」という二つの相反する現象に繋がります。
【不作動の原因】金属による電波・磁界の遮蔽(シールド)
金属が持つ最も基本的な性質の一つが、電波や磁界を遮る「遮蔽(シールド)効果」です。
これは、プロの万引き犯が悪用する手口に直結しています。
代表的なのが、内側をアルミ箔やアルミシートで丁寧に内張りしたバッグ(通称「ブースターバッグ」)です。
これは、電子レンジのドアの網目がマイクロ波を閉じ込めるのと同じ「電磁シールド」の原理を応用したものです。
このバッグの中にタグ付きの商品を入れてしまうと、ゲートが発する電波や磁界がバッグ内部のタグまで届かなくなります。
その結果、ゲートはタグの存在を認識できず、警報を鳴らすことができません。
これは、ゲートが鳴ってしまう「誤作動」とは逆に、鳴るべき時に鳴らない「不作動」という、店舗にとってはより深刻な問題を引き起こします。
【誤作動の原因】金属による電波・磁界の反射と干渉
一方で、意図せず店舗内に存在する様々な金属物が、ゲートの誤作動を引き起こす原因にもなります。
ゲートは非常に繊細なバランスの上で成り立っており、大きな金属はそのバランスを崩してしまうのです。
金属製の什器や設備の存在
- 金属製の陳列棚・ラック:
商品を陳列するスチール製の棚やゴンドラ、ハンガーラックなどがゲートのすぐ近くにあると、ゲートから放射された電波が予期せぬ方向に反射します。
これにより、本来は安定しているはずの検知エリアに電波の「強い部分」や「弱い部分」ができてしまい、受信機がこの乱れをタグの通過と勘違いしてしまいます。 - ショッピングカートやカゴ:
大量の金属製ショッピングカートがゲート付近にまとめて置かれている状況も危険です。
金属の塊が巨大なアンテナのように振る舞い、周囲の電波環境を大きく乱し、ゲートの検知システムを不安定にさせることがあります。 - 建物の構造材や設備:
店舗の壁裏にある鉄骨や鉄筋、さらには金属製の自動ドアのフレームなども、目には見えませんがゲートの電波や磁界に影響を与え、誤作動の一因となります。
方式による耐性の違い
このような金属の影響の受けやすさは、防犯ゲートの方式によって大きく異なります。
RF方式(電波方式)
送信ゲートと受信ゲートの間で安定した「電波のカーテン」を張り、その乱れを監視しています。
金属はこのカーテンを直接的に遮ったり、予期せぬ反射で歪ませたりするため、影響を非常に受けやすいとされています。
AM方式(音響磁気方式)
「パルス状の磁界を送信 → 送信停止 → タグからの微弱な返信(残響)を受信」という仕組みです。
例えるなら、「ゲートが喋っている間は耳を塞ぎ、周囲が静かになった一瞬にだけ、タグのかすかな声を聞く」という高度な技術です。
このため、周囲に金属があって常にノイズ(反射など)が存在していても、タグ固有の信号だけを的確に拾うことができ、金属への耐性が高いとされています。
この特性の違いから、化粧品のようにアルミ蒸着パッケージが使われる商品を多く扱うドラッグストアや、金属製品の多いホームセンターなどでは、金属への耐性が高いAM方式のゲートが選ばれる傾向にあります。
技術方式 | 動作原理 | 金属製品への耐性 | 主な用途 |
---|---|---|---|
RF方式(電波方式) | LC共振回路が特定のラジオ周波数に共振し、エネルギーを吸収する現象を検知 | 比較的弱い。金属により電波が遮蔽・反射されやすく、検知感度が低下したり誤作動の原因となったりしやすい。 | スーパーマーケット、書店、アパレルなど |
AM方式(音響磁気方式) | 磁歪効果を利用し、送信パルス停止後のタグからの「残響」信号を検知 | 比較的強い。周囲の金属製品や人体、アルミ蒸着パッケージなどの影響を受けにくいとされる。 | ドラッグストア、化粧品店、ホームセンターなど |
専門知識が求められるゲート設置
これらの理由から、防犯ゲートの性能を最大限に引き出し、誤作動を最小限に抑えるためには、専門的な知識と技術が不可欠です。
専門業者は、設置前に「サイトサーベイ(現地調査)」を行い、ゲート設置予定場所の周辺にある金属物の位置や、電気的なノイズ源を詳細に調査します。
その上で、ゲートの設置場所を決定し、設置後には周囲の環境に合わせて感度を最適化する「チューニング」作業を行います。
これは、誤作動を起こさずに、有効なタグだけを確実に検知するための非常に重要な工程です。
店舗のレイアウト変更があった際には、再度のチューニングが必要になることもあります。
このように、防犯ゲートと金属の関係を熟知したプロのノウハウがあってこそ、システムは安定して稼働することができるのです。
もし防犯ゲートが鳴ったら?クレームの前に

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万引きなど一切身に覚えがないのに、店舗の出口で突然鳴り響く甲高い防犯ゲートの警報音。心臓が跳ね上がり、周囲の視線が一斉に自分に突き刺さるのを感じ、一瞬にして血の気が引く――。
これは誰にでも起こりうる、非常に不快で気まずい経験です。
「なぜ私が?」「まるで犯人扱いだ」と、怒りや屈辱で感情的になってしまうのも無理はありません。
しかし、その場で店員にクレームを叩きつける前に、一度深呼吸をしてみてください。
実は、その後の対応次第で、この気まずい時間は数分で終わることもあれば、さらに大きなトラブルに発展してしまうこともあります。
ここでは、あなたの尊厳を守りつつ、無用な対立を避けるための賢明な対処法をご紹介します。
なぜ冷静な対応が重要なのか?
まず、ゲートが鳴ったからといって、店員が即座に「この人は万引き犯だ」と決めつけているわけではない、ということを理解するのが重要です。
- 店員も誤作動を熟知している:
店舗側は、防犯ゲートが様々な原因で頻繁に誤作動することを日々の業務で経験しています。
警報はあくまで「何らかの異常を検知した」という最初のサインに過ぎず、多くの店員は「また誤作動かもしれない」という前提で対応を始めます。 - 感情的な態度は逆効果:
こちらが最初から高圧的、攻撃的な態度を取ってしまうと、店員も人間です。防御的になったり、対応が硬化したりして、本来はスムーズに解決するはずの問題がこじれかねません。
穏やかな態度は、無実の証明への最短ルートです。 - 疑いを招く行動を避ける:
慌ててその場を立ち去ろうとしたり、過度に手荷物を隠そうとしたりすると、「何かやましいことがあるのでは?」と、かえって不必要な疑いを招く可能性があります。
推奨されるスマートな対応フロー
もし警報が鳴ってしまったら、以下のステップを意識して行動してみてください。
ステップ1:その場で立ち止まり、平静を保つ
警報が鳴ったら、まずはその場で静かに立ち止まります。
驚いた表情は自然ですが、慌てふためく必要はありません。店員が来るのを待ちましょう。
これが「私は逃げも隠れもしません」という無言のメッセージになります。
ステップ2:店員の指示に穏やかに従う
店員が近づいてきたら、穏やかな口調で対話を始めましょう。
「はい、何でしょうか?」と応じ、その後の指示に従います。
通常は、購入レシートの確認や、手荷物について簡単な確認を求められます。
法的に手荷物検査を強制することはできませんが、早期解決のために任意で協力する姿勢を見せることが賢明です。
バッグの中身をぶちまけるのではなく、「こちらのバッグでしょうか?」と尋ねながら、自分で中を見せる形を取るとスマートです。
ステップ3:心当たりのある情報を正直に伝える
これは非常に有効な一手です。
「そういえば、昨日書店で買った本がカバンに入っています」「このスキミング防止の財布、他の店でも鳴ったことがあるんです」など、誤作動の原因として考えられることを正直に伝えてみましょう。
この一言が、店員にとっても「ああ、そのパターンか」と納得しやすく、事態を穏便に収束させるための「助け舟」になります。
ステップ4:購入の証拠、レシートを提示する
その店で購入したものがあれば、レシートは「潔白を証明する最強の武器」です。
落ち着いて提示し、正しく会計が済んでいることを示しましょう。
クレームを入れるべき時、その前に考えるべきこと
もちろん、何をされても我慢すべき、というわけではありません
。以下のような、個人の尊厳を著しく傷つける不適切な対応をされた場合は、然るべきクレームを申し立てる正当な権利があります。
- 公衆の面前で「万引き犯」と断定された。
- 本人の同意なく、無理やり身体や持ち物に触れられた。
- 不当な理由で、別室などに長時間拘束された。
- 侮辱的、威圧的な言葉を投げかけられた。
このような場合は、対応した店員の名前や時間、具体的な言動を記録し、後日、店舗の責任者や本社のお客様相談室に事実を冷静に伝えるのが効果的です。
しかし、そうしたケースに至る前に、警報が鳴る原因の多くが「他店の未消去タグ」や「持ち物との相性」にあるというシステム上の課題を考慮に入れると、少し冷静になれるかもしれません。
多くの場合、丁重に、そして毅然と協力すれば、数分で誤解は解けるはずです。
不快な経験であることは間違いありませんが、まずは冷静な対話を試みることが、あなたの時間と心の平穏を守るための最も確実な方法なのです。
絶対ダメ!防犯ゲートの誤作動を無視するリスク

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「急いでいるから」「自分は何も悪いことをしていないのだから関係ない」「恥ずかしいから、早くこの場を立ち去りたい」――。
防犯ゲートが鳴った際、そうした思いから、つい無視してそのまま店を出てしまいたくなる気持ちは理解できます。
しかし、その行動は、たとえ自分に一点の非もなくても、絶対に避けるべき極めてリスクの高い行為です。
その理由は極めてシンプルです。
あなたが「誤作動だろう」と思っていても、店舗側から見れば、警報を無視して足早に立ち去る行為は、万引き犯が取る典型的な行動パターンと全く区別がつかないからです。
その数秒間の手間を惜しんだことが、あなたの社会的な信用を根底から揺るがす、深刻な事態に発展する可能性があるのです。
【リスク1】公衆の面前での「万引き犯」としての誤認
無視して店を出ようとした瞬間、「お客様、お待ちください!」と店員や警備員に大声で呼び止められ、追いかけられる可能性があります。
最悪の場合、腕を掴まれて制止されるかもしれません。
公衆の面前でこうした事態になれば、周囲の人々からは好奇と非難の視線を浴び、計り知れない精神的苦痛と屈辱を味わうことになります。
さらに現代では、その様子をスマートフォンで撮影され、SNSで「万引き犯」として瞬時に拡散されてしまうリスクすらあります。
一度デジタルタトゥーとして刻まれた不名誉な記録は、完全に消し去ることが極めて困難です。
【リスク2】警察への通報と「被疑者」としての捜査
多くの店舗では、警報を無視して立ち去る人物については、ためらわずに警察へ通報するようマニュアルで定められています。
店員には、店舗の資産を守る職務上の責任があるからです。
その結果、後日、あなたの自宅や職場に警察から事情聴取を求める電話がかかってくる、という悪夢のような事態に発展しかねません。
たとえ任意の事情聴取であっても、警察署に出向き、数時間にわたって説明を求められる時間的・精神的負担は計り知れません。
そして、たとえ最終的に嫌疑が晴れたとしても、あなたの名前は警察の捜査記録に「被疑者」あるいは「重要参考人」として残り続けることになるのです。
【リスク3】防犯カメラ映像という「動かぬ証拠」
「その場で呼び止められなければ大丈夫」と考えるのは大きな間違いです。
現代の防犯カメラは非常に高性能で、あなたの顔や服装は鮮明に記録されています。
そして最も重要なのは、「警報音が鳴った時刻」と「あなたが無視して店外へ出る姿」がタイムスタンプ付きで完全に一致した映像が、客観的な証拠として残ってしまうことです。
店舗側が後日、在庫の不足に気づき被害届を提出した場合、その映像はあなたの「犯行」を裏付ける極めて有力な状況証拠として扱われます。
後から「自分はやっていない」「誤作動だった」と口頭で主張しても、その不利な証拠を覆すのは非常に困難です。
店舗によっては、常習犯として系列店を含めたブラックリストに登録され、日常生活に支障をきたす可能性もあります。
数分の手間か、一生の後悔か
これらの深刻なリスクを考えれば、たとえどんなに急いでいたとしても、警報が鳴ったらその場で立ち止まり、誠実に対応して潔白を証明することが、どれほど賢明な判断かお分かりいただけるでしょう。
無視することで得られるのは、せいぜい数分間の時間的メリットに過ぎません。
一方で、失う可能性のあるものは、「社会的信用」「心の平穏」「膨大な時間と労力」、そして最悪の場合は「前科」という、人生において取り返しのつかないものです。
誤作動はあくまでシステム上の問題であり、あなたが誠実に対応すれば、通常は数分で誤解は解け、何事もなかったように日常に戻れます。
自分自身の尊厳と社会的な信用を守るためにも、「警報の無視」は、自ら潔白を証明する権利を放棄する行為に等しいと肝に銘じ、絶対にやめましょう。
総括:防犯 ゲート 反応するものの正しい知識
この記事では、防犯ゲートが反応するものの正体について、その仕組みから誤作動の原因、そして万が一の際の対処法までを多角的に解説しました。
最後に、安心して買い物をするために知っておきたい重要なポイントをまとめます。
記事のポイント まとめです
- 防犯ゲートは不正な持ち出しを検知し、犯行を心理的に抑止する役割を持つ
- 主な検知方式にはRF方式(電波)とAM方式(音響磁気)の2種類が存在する
- ゲートが反応する対象は原則として専用の防犯タグやラベルのみ
- ハードタグは再利用可能で衣料品に多く、ラベルタグは使い捨てで書籍などに使われる
- 自鳴タグはタグ自体が鳴る高セキュリティなタイプ
- レシートやバーコード自体がゲートに反応することはない
- 誤作動の最も一般的な原因は他店で購入した商品の未消去タグ
- 店舗内の金属製の棚やカートが電波を乱し誤作動を引き起こすことがある
- 財布のスキミング防止機能(アルミ素材)が原因となる場合がある
- 電子機器の付属品(ケーブル類)が疑似タグとして反応する可能性
- ゲートが鳴っても犯人扱いせず、まずは冷静に立ち止まることが大切
- 店員には協力的な姿勢で対応し、手荷物の確認に応じる
- 心当たりのある原因(他店の商品など)を正直に伝える
- 警報を無視して立ち去る行為は万引き犯と誤認される高いリスクを伴う
- 正しい知識を持つことで、不要なトラブルを避け、安心して買い物を楽しめる
【参考情報一覧】
- 神奈川県警察「万引き防止のガイドライン」
- 万引き対策機器専門「杏林社」
- 高千穂交易株式会社「効果的な万引き対策とは?」
- 企業警備保障株式会社「防犯タグ・ラベルについて」
- 高千穂交易株式会社「Sensormatic 商品監視システム」: https://www.takachiho-kk.co.jp/prod/eas/sensormatic/
- チェックポイントジャパン「RFID商品管理システム」: https://www.checkpointjapan.co.jp/rfid-solution/
- 株式会社キャトルプラン「よくあるご質問」: https://support.quatre-plan.co.jp/corp/gate-faq/
- Novatron Electronics「RF EASとAMの違いは何ですか?」: https://ja.novatron-cn.com/info/what-is-the-difference-between-rf-eas-and-am-69976375.html